「宇宙は人類のために設計されている」 人間原理

 「宇宙は人類のために設計されている」説が、あながち間違いとも言えないワケ…物理学から考える「この世界の存在理由」


そこで提唱されたのが「インフレーション理論」である。


宇宙は人類のために絶妙にデザインされている?



本連載の締めくくりに、宇宙を考えるうえで避けて通れない

「人間原理(Anthropic Principle)」の話をしていきましょう。


現在の宇宙の法則の中には、さまざまな物理定数があります。


たとえば強い力、電磁気力、重力などの力の強さもそうです。


つまり具体的に決まっている数値のことですね。

これらの定数をよく見ると、まるで人類が誕生するように値が調節されているとしか思えないものがあるのです。


たとえば、電磁気力の強さを少しでも変えると、生命は生まれなくなってしまいます。


強い力の値をちょっと弱くすると、星の中で元素を合成するトリプルアルファ反応というものが起こらなくなります。


これは3個のヘリウム4の原子核が結合して炭素12ができる核融合反応ですが、この反応が起きないと、炭素や酸素といった生命に不可欠な元素が生成されなくなるのです。


これらの例に限らず、われわれが住む宇宙は、人類を含めた生命をつくるために絶妙にデザインされているように見えるのです。これは否定しようのない観測事実です。


このような話を聞くと

「ああ、やはり神様は人間を創造するようにこの世界を設計されたんだなあ」と思う人もあるかもしれません。


しかし、科学者がそのように考えるわけにはいきませんから

このような物理定数のナゾをどう解決するかが重要な問題になります。


人間原理も、この問題への答えとして考えられてきたものなのです。


これまで人間原理については、いろいろな研究者が自分の見解を述べていて

量子脳理論のアイデアでも知られる

ロジャー・ペンローズはこう言っています。


「神様がわれわれの住んでいる宇宙と

同じような宇宙を創り出すためには

途方もなく小さな空間の中の小さな定数が必要である」



つまり、適当に物理定数を決めても、決していまの宇宙はできない。

神様はよほど注意深くならなければならない、というのです。


そして、どこから出てきた数字かわかりませんが

われわれの住む宇宙がつくれる確率は、10の10の123乗分の1だと

すこぶる具体的な数値を示しています。


この数字はおそらくジョークだとは思いますが

それくらいとてつもない精度で選択をしていかなければ

いまのような宇宙はできっこないというわけです。

そして、なぜいまの宇宙がそうなっているかという問題は、人間原理でしか説明できないというのです。



宇宙の法則が少し違ったら人類はどうなっていた?


人間は「選ばれし存在」か?



およそ50年前、プリンストン大学の物理学者

ロバート・ディッケは、もし宇宙が現在のようにきわめて平坦でなければ、人間は存在していない、だから人間は選ばれた存在であると言いました。


神様はきわめて慎重に、曲率がゼロになるように宇宙を創造したということになりますが

それは非常に困難なことです。

これが「平坦性問題」です。この問題を説明するためにディッケは

人類は曲率がゼロに近いきわめて平坦な宇宙にだけ住むことができる。

だからこの宇宙は平坦な宇宙なのだ、と言ったのです。


「人間原理」という言葉を最初に使ったのは、ブランドン・カーターです。


読者のみなさんはコペルニクスをご存じでしょう。

地球は宇宙の中心にあるのではなく、太陽のまわりを回っているという地動説を考えた人です。このコペルニクスの考え方を太陽系だけに限らず、あらゆる一般的なことに敷衍したものをコペルニクスの原理と言います。

人類は世界の中心にいるわけではなく、宇宙においては人類といえどもワンオブゼムの存在であるという考え方です。


カーターは、このコペルニクスの原理に対する逆の考え方として、人間原理という言葉を使ったようです。宇宙は人間を生むようにつくられていると見ることができるとして、人間を特別な存在として考えるべきであるというのです。


やがて人間原理は、「弱い人間原理」と、「強い人間原理」に分かれます。


弱い人間原理とは、いまあるこの宇宙のあり方を決める数値(宇宙の初期条件など)は、なぜ人間が存在するのに都合よく定められているのかを問うものです。


そのよい例はディッケの平坦性問題で、人間が宇宙に存在することから、宇宙は平坦になるよう微調整されたとする考え方です。ただし、やはり平坦性問題のように、インフレーション理論を使えば物理法則だけで説明できるものもあります。


これに対し、強い人間原理は、物理学の基本法則・物理定数や、宇宙や空間の次元などは、人間が存在できるようにつくられているというものです。


2次元でも4次元でもだめで、3次元でなければならないとテグマークが言うのも、この強い人間原理です。


マルチバースと人間原理


それは、マルチバースの考え方に立った人間原理です。


インフレーション理論が予言するように、宇宙が子宇宙、孫宇宙…と無数に生まれているならば、それぞれの宇宙が持つ物理法則もまた無数に存在するはずです。


それらの中には、人間が生存するのにちょうどよい物理法則があっても不思議ではありません。そして、私たちの宇宙がたまたま、そういう物理法則を持つ宇宙だったのだ、とする考え方です



そして、そのような私たちの宇宙が、たとえペンローズが言ったように
10の10の123乗分の1というわずかな確率でしか
つくられないとしても

宇宙が無数にあるのなら、そのうちの一つが私たちの宇宙であっても何も不思議ではありません。



「宇宙は人類のために設計されている」説が、あながち間違いとも言えないワケ…物理学から考える「この世界の存在理由」





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